紡木たくの『ホットロード』です。
この表紙・・・。
もう漫画にしておくのがもったいないです。
伝説の少女漫画 ホットロードとは
「別冊マーガレット」に1986年1月号から1987年5月号まで連載され、集英社の少女漫画史上最速で100万部突破、全4巻ながら700万部という売上を記録した伝説の少女漫画です。
当時の女子中高生に絶大な人気を誇った80年代を代表する漫画家・紡木たくにより描かれた、名作中の名作です。
ごく普通の女の子が不良少女へと変わる様、家出、同棲、暴走族同士の激しい抗争など、それまでの少女漫画では描かれなかった衝撃的な展開が大きな話題となりました。
よく”ヤンキー漫画”といわれていますが、違います。
終焉に向かう暴走族を舞台にした”恋愛漫画”です。
独特かつ唯一でもある雰囲気の作風が、時代背景やストーリーと見事にマッチしていて、儚さ・切なさ・強さ・愛おしさ・リアルさが絶妙なバランスで表現された傑作です。
ごまメモ
作者の紡木たく先生は名前から男性だと思われることも多いですが、女性です。
ホットロード あらすじ
中学2年生の宮市和希は母親と二人暮らし。
母親の誕生日に万引きで捕まってしまうが、母親は迎えに来なかった。
和希は2歳の時に父親をなくし、父親のことを愛していなかった母親に対し、自分も愛されていないと感じて常に孤独を抱えていた。
友人の絵里に誘われて湘南に出かけた和希は、暴走族「NIGHTS」のメンバー・春山と出会う。
最初は互いに何かとぶつかり合う二人。
春山にはミホコという彼女がいたが、ふられてしまい、ある夜、和希に「オレの女にならない?」というのだった。
いつの間にか和希の心の中で、春山はかけがえのない大切な存在になっていた。
そんなある日、和希と絵里は知らないグループに声をかけられ、軽いノリでついて行ったが、突然、乱暴されそうになってしまう。
なんとか逃げた絵里はNIGHTSの総頭であるトオルの彼女の宏子に連絡して助けを呼ぶ。
宏子から連絡を受けた春山によって助けられた和希。
中3になった和希は、家出をして、今はトオルの家で宏子に世話になっている。
春山は、トオルからNIGHTSの総頭におされ、もうその気になっていた。
「こわかったら、オレの彼女やめてもいーよ」という春山に、心配しながらも「こわくない」とこたえる和希だった。
そんな折、新宿の”漠統”というグループがNIGHTSを潰そうとケンカをしかけてきた。
挑発にのる春山・・・止めようとする仲間たち・・・。
そして次の日、トオルから、総頭の証のバイクが春山に贈られた。
その直後、警察による頭狩りが始まり、トオルは姿を消す。
NIGHTSの総頭になった春山と暮らし始めた和希。
ある日、二人は食中毒になり、和希は学校で治療を受けることができたが、春山はアパートでひとり苦しんでいた。
懸命に看病する和希は、春山への深い愛を感じていた。
春山は迷っていた。
友人からは和希のことも考えろといわれ、NIGHTSのOBからは、もっと本気でやれとハッパをかけられて、NIGHTSをとるか、和希か・・・。
ついに春山は和希に別れを告げ、しばらく帰らないと出て行くのだった・・・。
春山の本当の気持ちを知らない和希は悲しみに暮れる。
春山はライバルのグループとの抗争中に大事故に遭い危篤状態に陥る。
病院に駆け付けた和希はショックで錯乱し「自分も一緒に死ぬ」と泣き叫ぶ。
必死になだめる母親と、はじめて母親の愛を感じた和希。
奇跡的に春山の意識は回復する。
しかし、春山は半身不随の障害を負った上に、鑑別所へ送られてしまう。
絶対に鑑別所だけで帰ってくると和希に約束する春山。
高校へ進学した和希は、出所した春山とケンカしながらも障害を乗り越えていく。
いつか春山の赤ちゃんのお母さんになりたい・・・という小さな夢を持つ和希。
肩を組んで道を歩く二人の後ろ姿
”あたしたちの 道は ずっと つづいている”
ホットロード 漫画刊行詳細
- マーガレットコミックス
1986年12月21日初版/全4巻 - 集英社文庫
1995年8月18日発売/全2巻 - 完全版 集英社ガールズコミックス
2006年7月25日発売/全3巻 - コンビニコミック版 集英社ガールズリミックス
2009年6月発売/全1巻 - 電子書籍版
2013年6月25日/全4巻
information
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ホットロードの映画について語る
2014年に能年玲奈(現:のん)と登坂広臣で初めて映画化されました。
ホットロード映画化の経緯
連載から25年以上経っているので、なぜ今更?!と思いましたが、過去に何度もドラマ化や映画化のオファーが来ていたにも関わらず、”イメージに合わない”という理由で作者である紡木たくが全て断っていたそうです。
しかし、能年の存在を知った紡木たくが「彼女なら和希の役を託してもいい」と初めて実写化に許可を出し、映画化が実現することになりました。
ごまメモ
ちなみに、紡木たくが能年を知ったきっかけは『カラスの親指』という映画で、『あまちゃん』放送前からキャスティングが決定していました。
確か『ガラスの仮面』も、作者の美内すずえが安達祐実ならイメージに合うからと許可を出してドラマ化が実現していましたね。
無理やりキャスティングするのではなく、イメージの合う俳優が現れるまで待ち続け、現れなければ実写化はしない位の勢いに深い作品愛を感じました。
実際に映画『ホットロード』を見た感想
はじめて映画化が報道された際は、時代設定は現代にアレンジする的な説明があったので、
「マジで?!あの時代設定だからこそあの世界観が出せるんじゃん!!これ絶対別物になるわぁ~」
と、はやくも諦め絶望モードになったごまでしたが、実際映画を見てみるとちゃんと原作通りの時代設定だったので安心しました。
あの作品をイメージを崩さすに現代ヴァージョンで作るのは無理がありますよね。
しかも主演以外のキャストも結構ハマってる!
ストーリーもなかなか原作に忠実!
好きな漫画が実写化されると大半はがっかりするパターンが多いですが、イメージ崩れを覚悟していた分期待値が低かったせいか、思っていたより好感度は高かったです。
ホットロード映画オフィシャルサイトはこちら
ホットロードの主題歌は尾崎豊
映画の主題歌には尾崎豊の『OH MY LITTLE GIRL』が起用されました。
ごまは、ホットロード映画化を知ってから真っ先に主題歌は絶対尾崎でしょ!!と勝手に思っていたので、本当に尾崎豊だったので嬉しかったですね。
漫画の原作には、和希の部屋に尾崎豊のポスターが貼ってあるシーンが出てくるので、きっと紡木先生も尾崎ファンなんでしょうね。
映画化によっていきなりプレミア価格に!!
ホットロードの映画化が決定した途端、ヤフオクでは漫画版ホットロードにマーガレットコミックス全4巻で1万円近い値が付きました。
しかもバンバン落札されてる!
これは衝撃的でした。
ちょっと前まで1冊100円以下でも買えたのに!!
ごまは保存用の初版セットと読む用の再販セットの2セットを持っていたので、一瞬売るべきかどうか迷ってしまいました。
現在は比較的値は落ち着いてますが・・・。
ホットロードが与えた影響
ホットロードのパクリで放送禁止になったドラマ 『終わらない夏』
『終わらない夏』は1995年7月に日本テレビ系列で放送されたドラマです。
このドラマのストーリーやキャラクター設定やセリフなどがホットロードと酷似していた為、ファンからの抗議が殺到し、盗用疑惑がマスコミに大きく報道されました。
最終的に制作者側が出版社などに謝罪しています。
その為、再放送はもちろん、現在に至るまで映像ソフト化も一切されていない封印作品となっています。
ごまメモ
主演は瀬戸朝香で、井ノ原快彦とはこのドラマの共演がきっかけで結婚しています。主題歌はMy Little Loverの「Hello, Again 〜昔からある場所〜」でした。松本莉緒(当時:松本恵)の公式デビュー作でもありました。
映画「ホットロード製作委員会」には日本テレビも関わっていたので、出版社側とも19年越しに和解に至ったようです。
氣志團のバンド名はホットロードから 歌詞にもセリフが?!
氣志團の綾小路翔さんは「俺が紡木たくの世界をこの世で一番理解している」と豪語している程、大の紡木たくファンだそうです。
ホットロードに登場する暴走族のチーム名は「Nights」(ナイツ)。
「氣志團」の英語表記は「Knights」で、これは「Nights」にKを付けたものです。
また、『國道127号線の白き稲妻』という曲では、ホットロードの冒頭のモノローグが歌詞に使われています。
これはパクリではなく、完全にリスペクトですね。
ごまメモ
大ヒット曲『ワンナイトカーニバル』の歌詞の中にも、春山がつけているコロン「タクティクス」が入っています。
チェッカーズ 『Jim&Janaの伝説』
『Jim&Janaの伝説』。
このチェッカーズの曲は、ボーカルの藤井フミヤさんがホットロードに強く影響を受けて作った曲だと言われています。
確かに、この曲にはホットロードの世界観が非常によく表れています。
氣志團のキャッチフレーズに、この曲の「Periodの向こうへ」というワンフレーズが使われていることからも、ホットロードのイメージを持った曲だと納得できます。
映画化が決定した時、多くのファンが主題歌は『Jim&Janaの伝説』に!と思っていたそうですね。
ごまはこの曲を知らず、漫画からイメージしていた音楽は尾崎豊だったので、主題歌に納得&満足していましたが・・・。
ホットロード以降の少女漫画の変化
ホットロード(というか紡木たく作品)登場以降で、少女漫画は大きく変わっていきます。
「少女漫画のひとつの頂点」ともされていて、ホットロードにおいて少女漫画の表現はひとつのピークを迎えたといわれています。
当時、多くの作家が絵柄・セリフ・構図・モノローグなどの影響を受けていた印象です。
ごまの勝手なイメージですが、”元祖・いくえみ綾”って感じがします。
矢沢あいのデビュー時にも紡木たく色が濃く表れていたように思います。
ごまの中では、現役少女漫画家の2トップには『いくえみ綾』と『矢沢あい』(療養中ですが…)が君臨しているのですが、このお二人が現在の少女漫画に与えている影響の強さを考えたら、その二人の原点ともなっている紡木たくの才能の凄まじさが分かっていただけるかと思います。
まとめ
不屈の名作には名作故の実力・エピソード・影響力が必ず伴うものですね。
当時の10代の女の子に絶大な支持を得たホットロードですが、それは共感とともに一種の憧れがあったように思います。
誰もが抱いていた憤りや不安や孤独感などのリアルな感情と、暴走族という自分には踏み入れることのできない別世界。
ごまは昔、この作品を読むと妙な読後感に襲われて不思議に思っていました。
暗くなるというわけではないのですが、しばらく放心してしまうというか、現実に戻るのに時間がかかってしまうというか・・・。
それほど物語の中に惹き込まれていたのでしょう。
昔読んだ方はもちろん、まだ読んだことの無い方や映画を見て興味を持った方は是非一度読んでみて下さい!!
まさに時代を超えた名作です。
集英社による特設サイトはこちら