初期のペンネームが違う漫画家

誰もが聞いたことのある有名作家のペンネームも、実は改名しているパターンが多いんです。そして有名作家ほど、改名前の作品には高いプレミアが付いています。

意外にも、巨匠達の多くはデビュー時は現在と違うペンネームを使っていました。

全く違うペンネームから、表記のみ変更になったパターンまでご紹介します。

ペンネーム改名リスト　有名漫画家の意外なペンネーム

藤子不二雄

手塚不二雄 → 足塚不二雄

デビュー前のペンネームは『手塚不二雄』でした。手塚治虫にあやかっての名前でしたが、そのまんま過ぎるのと、「手塚治虫の足元に及びたい」との由来から、『足塚不二雄』に変更しました。

昭和29年に、『足塚』のままでは、手塚治虫を越えることは出来ないと言う理由から、「探偵王」に掲載された読み切り『宇宙鉱脈』から、現在の『藤子不二雄』になっています。

水木しげる

東真一郎

西宮時代に階下を貸していた歯科医の名前「東」と、兄の長男の名前「真一郎」を合わせた名前です。兎月書房以外の出版社で多数使用しています。

『東真一郎』名義の作品には軒並み高値が付いています。

東真一郎以外の名義

貸本時代の水木しげるは、出版社や作品などによって複数の名義を使い分けていました。

特に自身が編集を任されていた貸本誌では、多数の作家が執筆しているように見せるため、1冊の中で複数の作品を別名義で書き分けていた為、多数のペンネームが存在します。

• むらもてつ
  少年時代に名乗っていた雅号から付けた名前。戦記漫画で使用。
• 関谷すすむ
  短編漫画・読み物・イラストなどで多数使用。
• 武良茂・武良しげる
  水木しげるの本名。短編漫画・読み物・イラストなどで多数使用。
• 米替富夫
  貸本時代のアシスタントの名前をいじったもの。短編漫画で使用。
• 戦記屋三平
  戦記読み物やイラストで使用。
• なんでも屋三平
  科学読み物やイラストで使用。
• 萩原治・堀田弘
  出版社が勝手に付けた名前。時代劇漫画で使用。
• 猿飛佐一
  忍者読み物やイラストで使用。
• 武取いさむ
  出版社が勝手に付けた名前。戦記漫画で使用。
• 水木洋子
  少女漫画で使用。

石ノ森章太郎

石森章太郎

1984年まで『石森章太郎』名義でした。

宮城県登米郡石森町（いしのもりちょう）出身で、ペンネームの由来となっています。

楳図かずお

山路一雄 → ウメヅカズヲ → 楳図一雄

『森の兄弟』は本文中のみが『山路一雄』名義で、背表紙や見返は『ウメヅカズヲ』名義となっています。

『別世界』では『ウメヅカズヲ』名義ですが、背表紙と貼り刊記は『ウメズカズヲ』になっています。

1957年頃から、『楳図一雄』と『楳図かずお』が使われるようになり、徐々に『楳図かずお』のみに統一されました。

赤塚不二夫

山田一郎

1974年にギャグゲリラの連載の一環で、『天才バカボン』『レッツラゴン』を含んだ連載中の作品・新連載作品・読み切り作品等、全てのタイトルを実験的に『山田一郎』に改名しましたが、 広告サイドからの苦情で3か月で元に戻してます。

松本零士

松本あきら

デビュー時から1965年位まで、本名の松本晟を平仮名にした『松本あきら』名義を使用していました。

『松本零士』のペンネームの由来は、「零歳児の感性をいつまでも忘れずに」というモットーと、夜半―午前零時を過ぎないとアイデアが浮かばない事が度々あった事、「毎日夜零時まで働く士（サムライ）」からだそうです。

また、零士の零は無限大の「れい」、士は本名である「あきら」とも読むと語っています。

ちばてつや

千葉徹弥

デビュー単行本『復讐のせむし男』のペンネームです。

初期作品は本名の『千葉徹弥』表記でした。

上原きみ子

金田君子 → 上原希美子 → 上原きみこ

貸本時代は本名の『金田君子』で活動していました。

商業誌のデビュー作『ショーケン物語』が『上原希美子』、現在のレディース誌で『上原きみ子』名義になっています。

大和和紀

一ノ関和紀

なかよしに掲載された『お見合いするなら』が旧姓の『一ノ関和紀』名義でした。

「大和」は実母の旧姓です。

細川智栄子

細川千栄子 → 細川知栄子

デビュー作の『くれないのばら』は『細川千栄子』名義。

『王家の紋章』の連載中に現在の『細川智栄子』になっています。

秋本治

山止たつひこ

こち亀連載開始時は短期終了予定だった為、次の作品から本名に戻すつもりでしたが、予想以上の人気で連載が続いたことと、本家の山上たつひこからのクレームが原因で変更しました。

こち亀の100話目から本名の『秋本治』になりました。

新人賞に応募した際のペンネームは、石ノ森章太郎のもじりも加えた『岩森章太郎改め山止たつひこ』でした。

井上雄彦

成合雄彦

デビューから『カメレオンジェイル』初期再版分のみ本名の『成合雄彦』名義です。

尾田栄一郎

月火水木金土（つきひみず・きこんどう）

高校時代に投稿した短編『WANTED』が「週刊少年ジャンプ」の新人賞の手塚賞に準入選した時のペンネームです。