スラムダンクの新装再編版が2018年6月に発売されましたね。
新装版は、井上雄彦先生が新たに描き下ろした表紙カバー&ストーリーの節目ごとに構成された巻立てで、最終的に全20巻で発売されました。
そして全巻購入特典として、この企画特製の特大ポスターを応募者全員がもらえちゃうという太っ腹ぶりでした。
既にオリジナル版を全巻持ってるけど、新装再編版も欲しくなっちゃうわ。
2021年1月には、なんと井上雄彦先生の公式Twitterで『SLAM DUNK スラムダンク』映画化が発表されました!!
まだ詳細は未定ですが、早速ファンの間では内容や公開日などの話題で盛り上がりを見せています。
・・・と、本編に関する話題はここらへんにして、実はスラムダンクには幻の続編があることをご存知でしょうか?!
黒板に描かれた、スラムダンク最終話から10日後のエピソード『あれから10日後』です。
スラムダンク&井上雄彦ファンの間では、そのプレミアム度から伝説化している作品です。
今回は、ごまのコレクションの中でも特にお気に入りの『スラムダンク 黒板カード』を紹介しようと思います!
幻のイベント 「スラムダンク・ファイナル」
2004年7月に、『スラムダンク』の単行本の日本国内発行部数が1億部を突破しました。
それを記念して、2004年8月10日の新聞六紙の朝刊に、一斉に全面広告で湘北メンバー6人それぞれの描き下ろしイラストが掲載されました。
井上雄彦が自ら広告主となり、多くの人々を驚かせ大反響を得ました。
そこで立ち上げられた ”『スラムダンク』一億冊感謝記念サイト” には、多くのファンからメッセージが寄せられ、「最後にファンの為に何かをやりたい」と井上先生が企画したイベントが「スラムダンク・ファイナル」です。
一億冊感謝記念イベント 「スラムダンク・ファイナル」詳細
このイベントは、2004年3月に廃校となった「旧神奈川県立三崎高校」の校舎で、各教室の黒板に井上雄彦先生がチョークでスラムダンクの「あれから10日後のストーリー」を描きだすというものでした。
2004年の12月3日~5日に、3日間のみ限定で開催された伝説的イベントです。
超限定告知で開催された幻のプレミアムイベント
「スラムダンク・ファイナル」は、連載終了後8年の歳月を経ていたうえ、TV・雑誌などのメディアでの告知が一切無く、井上雄彦のホームページ上のみでしか告知がされなかった為、それを発見することのできたファンのみが参加可能だった、幻の超プレミアムイベントだったんです。
限定告知でわずか3日間、しかも神奈川県のかなり田舎での開催・・・にも関わらず、3日間で5000人以上のファンが訪れたそうです。
広く告知されていたら何倍のファンが集まっていたことでしょう・・・。
当時はTwitteなどのSNSが普及していなかった為、ほとんどのファンが後からこのイベントの存在を知ることになりました。
ファンを信頼して無防備で自由だった会場
生粋のファンのみが対象にされただけあって、会場はかなり無防備だったようです。
境界線や張り紙や警備は一切無く、黒板消しもそのまま置いてあって、誰でも消そうと思えば消せるし、落書きも可能な状態でした。
井上先生がファンを信頼しての決断だったわけですが、結果、イタズラはもちろん枠線の一本すら消えていることはなかったそうです。
ごまメモ
井上先生曰く「これはある意味で”勝負”でもあるから、柵を作ったり”いたずらしないでください”なんて書いたら、その時点で自分の負けだと思った」とのこと。
『スラムダンク』や他の井上雄彦作品が置かれた「読書室」もあり、改めて『スラムダンク』を読んだり、休憩したり、他の参加者と交流したりすることもできました。
更に体育館ではバスケをすることもでき、なんと2日目と3日目の夕方には、参加したファンや読者と一緒に井上先生もバスケをしたそうです!!
井上先生は3日間とも、朝から晩まで会場にいて様子を見守っていたそうですよ。
参考文献『SWITCH(VOL.23-NO.2)』/(株)スイッチ・パブリッシング/2005年1月20日 発行
内容も先生もファンも、何から何まで神イベントだったわけですね。
この伝説的イベントの様子は、雑誌『SWITCH』や、DVDで見ることもできます。
スラムダンク あれから10日後 黒板カード
「スラムダンク・ファイナル」のイベントで黒板に描かれた『あれから10日後』の漫画をポストカードにしたものが、『スラムダンク 黒板カード』です。
タイトルを含めて全24枚で、黒板がミニサイズになったかのような質感と迫力が再現されたポストカードになっております。
パッケージのダンボールケースも、シンプルながら味があっていい感じです。
スラムダンク 黒板カード 内容
湘北メンバーと、対戦相手だった他校のメンバーのその後の様子が描かれています。
基本は黒板1枚あたり3コマ程度のプチエピソードといった感じで、全部で23種あります。
最初と最後だけちょっとつながっています。(花道と晴子の手紙のやりとり)
黒板カード 登場人物(順番通り)
- 晴子
- 湘北1年生メンバー
- ミッチー
- 彩子&安西先生
- 流川
- 赤木
- 小暮(&赤木)
- 宮城
- 翔陽メンバー
- 魚住
- 仙道&彦一
- 陵南メンバー
- 牧
- 清田
- 神
- 田岡監督&高頭監督
- 山王メンバー
- 河田兄弟
- 沢北
- 桜木軍団
- 花道
- 花道
- 花道
あれから10日後 完全版(SLAM DUNK 10DAYS AFTER)
2009年の4月に完全版として『スラムダンク あれから10日後 完全版』(SLAM DUNK 10DAYS AFTER)が発売されました。
当時、既に完売済みだった「黒板カード」と「ドキュメンタリーDVD」を求める人が大勢いた為、井上先生が2~3年考えて検討した結果、”完全版”として書籍化することを決定したそうです。
黒板漫画はもちろん、ファイナルイベントへ至るまでの新聞広告やウェブサイトのビジュアルも多数収録されています。
会場風景とともに一篇の漫画として楽しめるように大判のブックスタイルで構成された、まさに「完全版」です。
ファンなら持っていて損のないこと間違い無し!!
information
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まだあった?!もうひとつのスラムダンク「続き」
実は、「あれから10日後」以外にもスラムダンクの続編では?!と話題になった作品があります。
それは黒板アートから5年後の2009年に放送された資生堂AlephとスラムダンクのコラボCMです。
このCMは、井上先生が手書きで描いたスラムダンクの漫画がアニメーションのように動き出すという、躍動感あふれる超カッコイイ作品に仕上がっています。
かっこよさだけではなく、ダンクを決める瞬間に消しゴムとペンによってゴールがドラムやバケツに変わってしまうなどユーモアも効いていて、1分30秒という短い時間ながら、井上先生の素晴らしい画力とセンスが最大限に活かされた濃い作品となっております。
今見ても全く色褪せることがなく、ファンにとっては堪らない神CMと言っても過言ではありません。
スラムダンクの続編?!「スラムダンク×資生堂」CM動画
コラボCMには続編を想像させる登場人物の演出が!!
資生堂AlephのCMでは、スラムダンクの続きを想像させる描写があります。
まず、宮城のユニフォームの背番号が4番になってるので、新チームだということが分かります。
他にも花道が復帰して髪が少し伸びてたり、流川のバッシュがジョーダン5からジョーダン12になっているなど、湘北メンバーのその後が垣間見れる細かい演出がいくつか散りばめられていました。
こうして時を経てもスラムダンクの世界に出会えるのは、嬉しくて興奮しちゃいますね。
【考察】結局、正式な続編は再開するのか?!
実は、『あれから10日後』の完全版が書籍化された時、井上先生は「これが総決算といいますか、最後のものになろうかとおもいます」と綴っていて、スラムダンク関連の最後の作品となる可能性を示唆していました。
しかし今年になって、新装再編版が発売されたことにより、まだまだスラムダンクの歴史は終わってないことが証明されました!
正式な続編が始まる可能性
連載について、井上先生は当時の本誌のあとがきで「続きはやりたい」とコメントを残しています。
スラムダンクの最終話に関して、ジャンプ掲載時は最終ページに「第一部完」と書かれていますが、単行本では「第一部完」の言葉は無く、セリフも若干異なっています。
連載終了については、
「インターハイの組み合わせを作った時点で山王戦が最後と決めていた」
「トーナメント表を出したからには決勝まで行くっていう決まった道はもう進みたくない」
「前の試合よりもつまんない試合は絶対描きたくない」
「山王戦より面白い試合は描けないと思っていた」
「テンション高いところで終わらないと、作品にとって不幸になっていく」
と語っています。
ごまメモ
ちなみに、少年ジャンプで最終回が巻頭カラーだったのは『リングにかけろ』『ドラゴンボール』『スラムダンク』の3作品のみ。
さらに表紙&巻頭カラーの偉業を達成したのは『スラムダンク』だけでした。
※2016年9月17日に発売された少年ジャンプ42号で、40年間に及ぶ連載を終了した『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の最終回が、スラムダンク以来の表紙&巻頭カラーとなりました。
続編については、
「あるかもしれない」という含みのある発言をし、井上雄彦公式サイトでは「描きたくなった時に描く」と言っている為、可能性がゼロというわけではなさそうです。
ごまの勝手な見解
ごまだけではなく、多くのファンが恐らくこう思っているのではないでしょうか。
「続編を見てみたい気もするけど、今の終わり方・作品としてのクオリティが最高過ぎて、続編によってそれが壊れて価値が下がるのが怖い。」
井上先生が続編に関して、あるともないとも言えない曖昧な表現をしているのは、別にもったいぶってるとか煙に巻いているとかではなくて、本当にそのままの意味だと感じます。
新装再編版刊行への直筆コメントを見ても分かるように、きっとスラムダンクは登場人物も含めて特別な作品で、今でも先生の心の中で生きて続けているんだと思います。
そういう意味では続編は「ある」。
「山王戦が最後」との信条について、『あれから10日後』を描いたことにより ”続ければよかったかも” 的な自分のブレは起きなかったか・・・との質問に対し、あれはあれで「ひとつの終わり」だからそれは全くないと断言されています。
そういう意味では物語としての連載再開は「ない」。
ということではないでしょうか。
多分、「あるかもしれない」の真意は、本格的なストーリーとしてではなく、番外編やスピンオフ的な範囲での可能性であるような気がします。
ごまはあの終わり方がいいと思うし、人気作品を無理矢理ひっぱろうとする流れに流されず、一方的に第二部や続編を要求する外野の声に負けることなく、ご自身の信念やポリシーを守り続ける井上先生を尊敬してやみません。
画力もストーリーも大好きだけと、そういう先生自身もマジで好き。
まとめ
ファン想いの井上雄彦先生による、プレミアムなイベントで生まれた、プレミアムな黒板カード。
あの伝説のイベントに参加できた方々は超自慢になりますよね。
ごま的には、やっぱり続編は『あれから10日後』が最終形で、今回の新装再編版みたいな感じでちょこちょこスラムダンクブームが再燃してくれる位が色々と丁度いいかなと。
新作は嬉しいけど、好きな作家や作品程コレクターは全部集めたくなっちゃうから、いっぱいあり過ぎても極めるのが大変で困るんじゃー。
というわけで、幻の続編『あれから10日後』を知らなかった方は、この機会に是非見てみて下さいね。