CGでもSF映画でもないんです。
実在するファンタジーのような島『ソコトラ島』です。
絶景マニアの心をくすぐるユニークな景観が魅力のソコトラ島ですが、1999年に空港が開港するまでは観光客の立ち入りができなかったこともあり、ほとんど知られることはありませんでした。
2008年になって、固有の進化を遂げた独自の生態系や、普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種を守る為、ユネスコの世界自然遺産に認定されました。
今回は、そんな注目度上昇中の異世界空間の島『ソコトラ島』を徹底解剖します!
ソコトラ島とは
イエメンのソコトラ県に属するインド洋に浮かぶ島で、周辺の島と合わせてソコトラ群島やソコトラ諸島などと総称されることも多いです。
超大陸(ゴンドワナ大陸)の分裂でアデン湾が形成した2300万年~500万年前にアフリカ大陸から分離したと考えられています。
苛酷な気象条件の中で長い年月の間に動植物は独自の進化を遂げ、イエメン本土のあるアラビア半島とは異なる生態系が作り出されました。
植物・爬虫類・鳥類・昆虫などの固有種率は極めて高くなっています。
島を囲む海は、透き通る綺麗なコバルトブルーで真っ白な砂浜が広がり、岸からすぐのところに珊瑚礁が生息する地帯もあり、その眺めは息をのむ美しさです。
ソコトラ島周辺は海の生態系も多彩で、生息している海洋生物の種類は紅海とほぼ同じと考えられています。
インド洋のガラパゴス
ソコトラ島は、独自の特異な生態系を持ち、「インド洋のガラパゴス」と呼ばれています。
825種の植物の37%、爬虫類の90%、陸生巻貝類の95%は、この地域特有のの固有種となっていて独特の摩訶不思議な絶景を見ることが出来ます。
鳥類は海鳥を含め192種が見られ、その中の44種はソコトラ諸島で繁殖し、85種は渡り鳥です。
海洋生物も多様で、253種のサンゴ、730種の沿岸魚のほか、300種に及ぶカニ、ロブスター、エビなどが生息しているそうです。
ソコトラ島オリジナルの摩訶不思議な植物
竜血樹
島のシンボルとも言える、ソコトラ島を代表する樹木です。
この樹木から取れる樹脂は「竜血」と呼ばれ、ローマ帝国時代より止血剤や鎮痛剤、また塗料としても珍重されていて、古代には貴重な輸出品でした。
リュウゼツラン科の植物で、ディクサム高地やホムヒル保護区で多数の竜血樹を見ることが出来ます。
ごまメモ
島の伝説によると、死ぬまで戦った2人の兄弟の血から生えた木だという説と、ゾウと戦って傷ついた竜の血から生まれたという説があります。傷を付ければ血のように真っ赤な樹液が出てくることから「竜の血を流す木(竜血樹)」と言われているようです。
ボトルツリー(デザートローズ)
ボトルのような下膨れの幹が特徴的であることから「ボトルツリー」と呼ばれています。
ピンク色の美しい花から「デザートローズ」とも呼ばれています。
同じ形が存在しないユニークな容姿が魅力的です。
東部アフリカを原産とするキョウチクトウ科アデニウム属の植物です。
乳香の木
お香や香料に使われる樹木で、ソコトラ島には8種類の乳香の木が生息しています。
乳香の木からとれる樹脂は古来からヨーロッパにて宗教儀式に利用され、非常に高価なものでした。
焚いて香として、又は香水の原料、漢方薬としても用いられ古代のイエメンは乳香の輸出によって莫大な富を築き「幸福のアラビア」と呼ばれました。
キュウリの木
世界で唯一のウリ科の樹木で、「キューカンバーツリー」とも言われています。
カランコエ・ファリナセア
真っ赤に色付く多肉植物です。
ベンケイソウ科カランコエ属。
ソコトラナ
ガガイモ科エキノプシス属。
ソコトラ・バイオレット(エキザカム)
リンドウ科エキザカム属。
ソコトラ島ってどこにあるの?!
ソコトラは、アフリカの角から東におおよそ240Km、アラビア半島から南に380Kmに位置するインド洋上4つの島からなる小さな群島です。
(ソコトラ島は群島の主要な島で、ほかに小さな3つの島があります。)
日本外務省のイエメン治安レベルでは「危険レベル4」に指定されていていますが、ソコトラ島はイエメン本土と比較すると、治安も割と安定していて安全なようです。
実際に観光客も訪れているそうですが、わざわざ今の時期に無理して行くよりは、イエメン自体の治安が落ち着いてから行くのが賢明だと思います。
ソコトラ島へ行く方法
日本からの直行便はありません。
まずドバイなどを経由して、イエメンの首都サヌアにあるサヌア国際空港へ向かい、そこから出ているLCCのフェリックス航空かイエメニア航空でソコトラ島空港へ行くのが一般的です。
所要時間は、日本からサヌアが約15時間、サヌアからソコトラは約2時間位です。
まとめ
超行ってみたいけど、遠い&ちょっと危険。
こんなにユニークな島なのに、知られたのは比較的最近というのも驚きです。
はやく安全に自由に行けるようになって、たくさんの人に知ってもらいたいです!