楳図かずお　洗礼【フラワーコミックス版 極美本GET！】

楳図かずおの『洗礼』です。

楳図かずお作品の中でも特に名作と名高いこの『洗礼』は、文庫やコンビニコミック以外にも様々な形で復刊されている人気作品です。

ので、読もうと思えばいくらでも読めるのですが、ごまはずっと、ど～してもオリジナルのフラワーコミックス版が欲しかった！

かなり昔から、美本を求めて地道にコツコツと探索を続けていたのですが、汚くはないけど美本でもないレベルのものにしか出会えず、なかなか入手できないまま長い時が過ぎてゆきました・・・。

が、先日ふらりとヤフオクを覘いたら、フラワーコミックス版の『洗礼』全6巻がかなりの美本で出品されているではありませんか！

商品画像を見るかぎりでは、ヤケ・シミ・角擦れが一切無く、ちょっとありえない位の美品だったので、驚きと共に、もしかして加工された画像なのか？ という疑惑まで浮かんでくる程でした。

価格も相場より若干高めだったので少し迷いましたが、画像を信じて落札！！

翌々日、早速届いた商品を開けてびっくり仰天！！

超～キレイ！！！

ヤケもシミも一切無い！デッドストック状態！！

しかも、しかも・・・

スリップ（売上カード）まで付いてるぅ～！！！

コレは過去のヤフオク落札史上、最高品質でございます。

ここまで新品状態の現物が存在していたなんて・・・！

ついにっっっ！！

長年探し続けてきた甲斐がありました！

ちゃんと読みたくてキレイな物を探し続けてたのに、美本過ぎても読めぬ・・・。

ちなみに、このフラワーコミックス版、表紙をモチーフにしたスマホケースもあります（笑）

洗礼　漫画版の見どころ＆あらすじ

洗礼は「週刊少女コミック」の1974年50号より連載が開始されました。

なんと、少女漫画として世に出た作品なんですね。

確かに主人公のさくらは、楳図作品の中でもかなりの美少女で、非常に美しく描かれていますが、それを差し引いても、あのグロさMAXの内容＆描写満載の作品が少女コミックに掲載されていたとは・・・。

現代ではまず無理でしょうね。

楳図かずおの漫画は、ホラー系・グロい系・メッセージ系・コメディ系など幅広い作風がありますが、その中でも『洗礼』は、コメディ系以外の要素が上手い具合にバランス良く融合した作品に感じます。

（ある意味コメディ系の部分もありますが・・・）

狂気染みた世界の中に垣間見る、ただ幸せだけを願う切なさ・純粋さ（？）は、読んでいる側になんともいえない感覚を与えます。

何かと物議を醸しているラストも、冒頭のフレーズから得る解釈が様々あって奥深いんです。

まだ読んでいない方は是非、衝撃のラストをご自身で体感して頂きたいです。

洗礼　あらすじ

母親とは娘にとって何か？
娘とは母親にとって何か？
そして・・・
母親は娘に何を与えたか？

幼い頃から類稀な美貌を持ち、大スターの道を歩んできた往年の大女優・若草いずみ。

しかし彼女の顔には、子役時代からの厚化粧や撮影所の強いライトの影響などにより、人知れず残酷な老いの痕がはっきりと広がっていき、やがて顔に深いしわや醜いあざが出来てしまう。

昔から人一倍「美醜」や「老い」といったものに敏感だったいずみは、美しさを失うことを異常なまでに恐れ、そのあざのせいで精神の安定を欠くようになり絶望から半狂乱になってしまい、幼い頃からの主治医である村上という男を自宅に呼ぶ。

ついには、若さと美貌をとりもどすため、村上によるアドバイスである「女児を出産し、その娘に自身の脳を移植をする」という計画を企てる。

その後、いずみは無事に女児を出産し「さくら」と名づける。

全てにおいて自分よりもさくらを優先し、さくらにわずかな怪我をさせた友人を激しく叱咤するなど、異常なほど大事に育てていた。

周囲からは理想の母・娘と見られ、さくらが書いた作文「わたしのやさしいおかあさん」は文部大臣賞を受賞するほどのものであった。

一見良好な母・娘関係の裏で、いずみの主治医・村上は、家の2階で、来るべき脳移植手術にそなえ、動物実験を繰り返していた。

さくらは不気味なものを感じ取ったのか、決して2階に行くことはなかった。

ある日、さくらが思い切って2階に上がってみると、動物実験の痕跡である大量の死骸と、2台のベッドを発見し、今までの母親の過剰なまでの行動の真の意図に気付く。

逃げ出そうとするさくらだったが捕まってしまい、村上によって脳移植手術は強行される。

実の娘に自らの脳を移植し、若く美しい肉体を手に入れるというおぞましい手術は成功し、元女優・若草いずみはさくらとして目覚めた。

自らの醜く老いた体は隣に横たわり、鏡に映るのは我がものとなった若く美しい体。

彼女は死体を庭に埋め、今までの自分に別れを告げる。

そして、娘の通っていた学校へ、娘がしていたように通学するのだった。

生まれ変わったいずみ（さくら）は、娘の担任である谷川先生を見初めて、彼と結ばれて普通の女としての幸せを手に入れると決意する。

これまでのさくらのボーイフレンド（同級生）には、子供なんてもう相手にしない、自分が欲しいのは大人の愛だと言い放つ。

しかし、谷川は学校では独身だと偽っていて、実は妻と赤ん坊がいることが発覚。

憤慨したいずみは大人の悪知恵と実行力を行使し、谷川の家にうまくもぐり込むことに成功する。

そして、谷川の妻・和代を妻の座から引きずり落とす為、様々な嫌がらせを行う。

それはクラスメイト・赤ん坊・和代の母までをも巻き込んだ、非常に陰湿で手段を選ばない卑劣なものであった。

また、いきなりお風呂場に入ったりして、小学生の体で不気味に色っぽく谷川を誘惑するのだった。

数々の嫌がらせの甲斐あって、ついに和代は精神がおかしくなり病院送りになってしまう。

一度は谷川から離婚の約束をとりつけ、和代を追い出すという目的を達したかに思ったいずみ。

だが、勝ち誇るのもつかの間、実は谷川夫妻そろっての芝居にだまされており、妻は実家に避難し、谷川は密かにさくら（いずみ）に病院でカウンセリングを受けさせようとしていたことを知ってショックで涙を落とす。

おりしも、手術前のいずみの顔にあったのと同じ、加齢や過度の化粧による醜いあざが、小学生であるさくら（いずみ）の顔にも出現し、声や足どりにも異変が起こり始める。

さらには、若草いずみの引退後を追跡調査するルポライターも現れ、真相を暴かれそうになったいずみは徐々に追い詰められていく。

いずみは最終手段として、さくらの親友である良子に自分の正体と過去を全てを打ち明けて、ある計画に協力してもらおうとする。

その恐ろしい計画とは、谷川が和代を愛しているなら、今度は和代に自分の脳を再移植して和代本人になるというものだった。

そして、再びおそろしい移植手術が強行されようとしていた。

だが、実はなんと・・・！

衝撃の真実が明らかになるのだった・・！！

洗礼　映画版情報

1996年に監督・吉原健一、主演・今村理恵で映画化されています。

母いずみと娘さくら・能移植・ラストのどんでん返しなどは同じですが、谷川先生が先生ではなく、若草家の財産管理をしていて財産横領を計画しているということになってます。

一番の見どころは、なんといっても楳図先生ご本人の出演。

洗礼　漫画 刊行・復刊情報

• フラワーコミックス
  1976年2月5日初版/全6巻
• 秋田コミックスセレクト
  1984年12月発売/全3巻
• 小学館文庫
  1995年10月1日発売/全4巻
• コンビニコミック版 My First WIDE
  2002年6月20日発売/上・下巻
• ビッグコミックススペシャル（UMEZZ PERFECTION 10）
  2008年12月26日発売/全3巻

ビッグコミックススペシャルは、初出時の扉絵など、カラー原画が多数収録された完全版になっています。