内田善美の『星くず色の船』と『秋のおわりのピアニシモ』です。
絶版漫画コレクターの間では有名な伝説的漫画家です。
かなり昔にブックオフで100円か200円でGETしたのですが、今となってはありえないラッキーでした。
内田善美とは
1974年に『すみれ色の季節に』(雑誌にも未掲載の幻の作品)で「りぼん賞」を受賞し、同年の「りぼん」7月号にて『なみの障害物レース』でデビューしました。
1984年の『草迷宮 めらんこりかる Shopping』を最後に作品は発表されておらず、「消えた漫画家」として有名な作家の内の一人です。
彼女はもう漫画業界とは縁を切りたいという理由で、自分の作品の再版や復刻を一切認めていないらしく、事実上復刊不可能状態なので、全ての作品がプレミア価格となっています。
ごまメモ
特に、大判で高額だった為発行数が少ない『ソムニウム夜間飛行記』には、かなり高いプレミアが付いています。
内田善美が伝説になっている理由
ただの消えたマンガ家くらいではここまで伝説化はしないものですが、未だにネットで語られるほどに人々を惹きつけているものは一体なんでしょうか。
並外れた圧倒的画力
まずは漫画家の域を超えた圧倒的な画力が挙げられます。
とにかく繊細過ぎる細かさで、そこはトーン使うでしょって所も手書きで描き込んだり、トーンを使っても細か~く削ってあったり小さく切貼りしたあったりでマジ脱帽レベルです。
漫画というより、一つ一つのコマが芸術作品として完成している感じです。
それもそのはず、内田先生は美大出身だそうです。
構図やカラー絵なんかも、基礎があってこそのハイクオリティさが伺えます。
今見ても古臭さを感じさせない、時代をガン無視した桁外れの画力です。
幻想的なネームと巧みな心理表現
もうひとつ唯一無二の特徴として、独特なネームと心理表現の上手さがあります。
詩的で幻想的なネームは、持ち前の美麗な画力との相乗効果でさらに作品の芸術性を高めています。
叙情的だったり哲学的だったりして難解といわれることもあるストーリーも、巧みな心理表現により、まるで読んでいると作品の世界に取り込まれていくような錯覚を覚えるほどです。
代表作である『星の時計のLiddell』は、画・ストーリーともに集大成といわれている完成度を誇っています。
ごまメモ
「内田善美は実は男」という噂もありますが、出身の美大が女子美術大学ですので、正真正銘女性です。あとがきで「クン」付けにしていたり、本人のミステリアスさ故に浮上したガセネタだと思われます。
内田善美 刊行作品&未収録作品情報
活動期間は約10年程でしたので、刊行された作品自体はそれほど多くはありません。
がんばればコンプリート出来るかも?!
内田善美 コミックス
新書版単行本
- 星くず色の船
りぼんマスコットコミックス/1977年5月10日 初版同時収録
『海にいる黄色い船から君へ』『パンプキン パンプキン』『イブによせて』「善美のゥガァ~ッチャマン.ガ史」
- 秋のおわりのピアニシモ
りぼんマスコットコミックス/1978年8月10日 初版同時収録
『なみの障害物レース』『キャベツ畑に星が降り』『銀河その星狩り』「善美クンのゥガァ~ッチャマンガ史ぱぁと2」
- ひぐらしの森
ぶ~けコミックス/1980年10月20日 初版同時収録
『時への航海誌』『雲の魔法よ風の船』『7月の城』
- 空の色ににている
ぶ~けコミックス/1981年5月20日 初版 - かすみ草にゆれる汽車
ぶ~けコミックス/1981年10月20日 初版同時収録
『万聖節に黄金の雨が降る』『草冠を編む半獣神』『五月に住む月星』「内田クンのWELCOME TO GALESBURG」
豪華版単行本
- 草迷宮・草空間
集英社/1985年3月10日 初版 - 星の時計のLiddell 1
集英社/1985年9月10日 初版同時収録
「あとがき お茶にしましょ モモタロさん」「私的内田善美論 ロマンの色はセピア色(倉持功)」
- 星の時計のLiddell 2
集英社/1985年10月9日 初版同時収録
「イラスト&ポエム Snow Blue」「扉絵コレクション」
- 星の時計のLiddell 3
集英社/1986年10月8日 初版同時収録
「イラスト&ポエム」「あとがき」
内田善美 イラスト集・画文集
- 聖パンプキンの呪文
新書館 ペーパームーン叢書/1978年10月1日 初版 - 白雪姫幻想
サンリオ ファンタジーイラスト集/1979年9月10日 初版 - チェリッシュブック 少年たちの記憶
白泉社 自選複製原画集/1980年1月10日 初版 - ソムニウム夜間飛行記
白泉社/1982年10月10日 初版
内田善美 未収録作品
- 銀色の糸
りぼん/1974年10月号 掲載 - 妖精王の騎士
ペーパームーン/1977年8月号 掲載 - 人魚幻想
ヤングレディ/1977年12月27日号 掲載 - 人魚夢幻の秋のいろ
週刊セブンティーン/1978年47号 掲載