2017年に初めて紙のコミックスの売り上げを上回った電子コミックス。
今や市場の半分以上のシェアを占めるまでに普及している電子書籍ですが、果たしてレア本を探究している絶版漫画コレクターにとって、この状況は一体どんな影響があるのでしょうか?
ごまは、紙(というかオリジナル)にこだわりを持ち続けてきたので、電子書籍の存在は見て見ぬふりをしながらあえて無視していましたが、いよいよ無関係ではいられなくなってきた感を最近ひしひしと感じております・・・。
というわけで、ずっと心のどこかで気になっていた、コレクターにおける電子書籍の存在について、勝手に考察してみようと思います。
オリジナル版と復刻版 どっちを選ぶ?!
そもそも、紙だけの世界においてもオリジナル(初出)と復刊されたものでは価値や味わいが全然違ってきます。
電子書籍も復刊の一種なので、紙の復刊と電子書籍を復刻版の一括りとして、オリジナルと比較してみます。
オリジナル版と復刻版 メリットとデメリット
完全なオリジナル派とはいえ、復刻版にもいいところがあることは否定できません。
コレクターの方にとってオリジナルの良さは説明するまでも無いと思いますが、復刻版にも意外とメリットはあるので、双方のメリットとデメリットを紹介します。
オリジナル版(初出)のメリットとデメリット
オリジナル版のメリット
- 当時の雰囲気・表現などを味わうことが出来る
- 復刊では変更されたり削除されたりした部分もオリジナルのまま読むことが出来る
- コレクションとしての価値が高い
- 所有していることで得られる満足感
オリジナル版のデメリット
- 入手困難なタイトルが多い
- 状態が悪いものが多い
- タイトルによっては手が出ないほど価格が高い
復刻版・電子書籍のメリットとデメリット
復刻版・電子書籍のメリット
- 見つけやすい・入手しやすい
- キレイな状態で読むことが出来る
- オリジナルではプレミア価格のタイトルも安値で入手可能
- あとがきで今だから話せる裏話などが掲載されることもある
- 電子書籍の場合は劣化しない・場所をとらない・どこでも読める
復刻版・電子書籍のデメリット
- オリジナルと一部内容が変更されたり削除されたりする場合がある
- 希少価値は低い
こう見ると、コレクターじゃない方にとっては、別に復刻版や電子書籍でもいいじゃん!と思うかもしれませんが、コレクターにとっては、このオリジナル版のメリットがとんでもなく大きな割合を占めている訳で・・・むしろその為だけに必死こいてレア本を探し彷徨っていると言ってもいいのです。
実際、お宝クラスのプレミア本は、復刊されようが電子書籍になろうが価値が揺らぐことはありません。
『最後の世界大戦』とか
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絶版漫画のランク【お宝コミックからビンテージコミックまで】
一口に絶版漫画といっても、苦労せずに数百円で買えてしまうものから、市場に出てくること自体が無く超入手困難で何百万円もするプレミア漫画まで、幅広いランクやジャンル ...
コレクターにとってオリジナルと電子書籍は別物
まあ、正直読むだけなら、復刻版や電子書籍で充分なんですよね。
要は全くの別物なんですよ。
コレクターにとってオリジナルと電子書籍は。
実物を持っていること自体に意味があるのです!そこに封じ込まれた時代背景や、装丁・独特の雰囲気なども全てを含めてこその価値なのです!!
電子書籍化によって得るもの・失うもの
レアで入手困難だった絶版漫画を電子書籍化することにより、ある人は読めるようになったことを喜び、ある人は所有していた本の価値が下がることに懸念を感じます。
埋もれていた名作が、電子書籍化によって再び多くの人の目に触れることは良いことだと思います。
作者と読者のお互いが望んで実現した電子書籍化なら、むしろ喜ばしいことでしょう。
では、電子書籍化を敬遠するのは、希少性を重視するコレクターだけなのでしょうか?
作者本人は電子書籍化をどう思っているのだろう?
ごまは漫画家ではないので実際のところは不明ですが、自分の作品が電子書籍化されることを、全ての作家が簡単に受け入れているわけでは無いのでは?と感じています。
最初から電子書籍での公開を前提で描いているならともかく、紙を基本としている場合は、見開きで見た時のコマ割りや構図なんかもこだわって描いている方も多いでしょうし、電子書籍化によってそれらのバランスが崩れることに抵抗を感じる方も少なからずいると思うのです。
出版社の利益や、読者やコレクターの希望よりも何よりも、一番重視しなければいけないのは作家本人の想いなのではないでしょうか。
ごまが電子書籍を受け入れきれない部分として、作者の想いが無視されているんじゃないかという勝手な心配もちょっとあったりするんです。
逆に、作者本人が電子書籍化を望んでいるのに、権利者問題か何かで実現できずに完全に絶版になってしまったというパターンもあるようです。
このパターンの場合は海賊版サイトの餌食になりやすいので、一番納得できないし、話を聞くだけで悔しくなってしまいます。
電子コミックによって漫画のクオリティレベルが低下してしまわないか
もう一つの勝手な心配事として、今後もしも、初出から電子書籍の作品が増えてきたら、漫画自体のクオリティが低下してしまうのではないかということです。
やはり名作と呼ばれる作品は、漫画とはいえ芸術作品に近いものも多いです。
これが最初から電子書籍目的で描くとしたら、果たして同じレベルの作品を生むことができるのだろうかという疑問を持ってしまいます。
小さい液晶画面で見る物の為に、今まで通りの手間暇をかけて作品を創ろうとする作家がどれだけいるかどうか・・・。
芸術レベルの作品が減ってしまうのも無理がないような気がするのです。
実際、電子コミック専用の作品は、描き込みやコマ割りの単純さが目立ちます。
仮に、今以上に電子コミックが普及したとしても、日本の文化ともいえる漫画のレベルを維持する為、紙のコミックを失くしてはいけないのです。
まとめ
結局、電子書籍を上げたり下げたりどっちなんだよ!と思われたかもしれませんが、最終的な意見としては、「紙と仲良く共存出来ればいいね」ということです。
ただ、電子書籍化するのもしないのも、一番重要視すべきは作者の意思、次に読者の希望、利益や大人の事情系は最後に考えて欲しいものですね。
絶版漫画が電子書籍化によって絶版でなくなることは、コレクターにとっては賛否両論ありますが、こっちの世界を邪魔しない程度でお願いしますよ~位の心構えが丁度いいかと。
電子書籍化されようが欲しい物は実物を手に入れる!読みたいだけなら電子書籍を利用する!
時代の変化に惑わされることなく、これからもコツコツとコレクションを続けていこうと思います。