花村えい子の『霧のなかの少女』です。
前回ご紹介した『愛のひみつ』と並んで、マーガレットコミックスの中では特に入手困難となっているレアタイトルです。
長らくモノ自体に出会うことが出来ませんでしたが、ついにGET出来ました!
しかもビニカバ付初版で、状態も比較的いい感じです。
ごまメモ
1975年に、TBS系列にて『家庭の秘密』というタイトルでテレビドラマ化もされています。主演は秋吉久美子で奈津子役は池上季実子でした。ちなみに主題歌はユーミンの「あの日にかえりたい」です。
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霧のなかの少女 あらすじ
舞台は北海道。
東京から来た奈津子は、霧が立ち込める丘の上でリカという少女に出会います。
リカは、どこか奈津子の母親・由布子に似ていました。
実はリカは由布子の実の娘で、昔家計を助ける為に現在の夫・一条と結婚した由布子には当時付き合っていた人・江の木明がいて、裏切られた江の木が復讐の為に誘拐した赤ん坊がリカだったのです。
奈津子は夫婦がさびしさを忘れる為にもらい子をした子でした。
リカと奈津子は何も知らずに友達になります。
その後、由布子はリカが昔誘拐された自分の娘だということに気が付きますが、奈津子や夫のことを考えて真実は話さないことに決めます。
しかし、江の木はずっと罪の意識にさいなまれていて、リカに真実を話します。
その後リカは東京へ行き、一条家で暮らすことになります。
しかし、自分が来たせいで奈津子は真実を知ってしまいショックを受けてしまったことと、自分の家族は愛情を持って育ててくれた江の木だということに気付き思い直したリカは北海道へ戻ります。
しかし、家に帰ると江の木はおらず、行き先を突き止めた時にはもう身投げをして亡くなっていました。
・・・ここまでがマーガレットコミックス収録分です。
母と娘の愛憎劇や少女どうしの友愛と葛藤などが、波乱万丈なストーリー展開の中で、叙情的なタッチでシリアスに描かれています。
元祖メロドラマ的な存在で、「語り」部分などが物語の世界観を一層深めている感じです。
現代少女漫画の原点ともいえる作品のひとつで、本格シリアス少女漫画の代表作です。
復刻版は全話収録の完全版
2007年6月16日に小学館クリエイティブより復刻版が刊行されています。
マーガレットコミックスでは原稿紛失の為に、江の木が身投げしたところで終了していますが、復刻版は原稿紛失分をトレースしてその後の話も収録されている完全版となっています。
マーガレットコミックス未収録分の内容
後半は奈津子目線で物語が進められています。
その後リカは一条家で暮らすことになります。
もらい子である奈津子の悩みを中心に描いていて、最終的に奈津子は歌手である実の母を探しあてますが、結局は一条家に戻る・・・というストーリーです。
また、本編の他に花村先生のインタビューと、二上洋一氏(元「マーガレット」編集者)・藤本由香里氏(漫画評論家)による解説も収録されています。
若干、なぜ今さら復刊?という疑問と、定価2.800円とちょっと高め設定に躊躇がありましたが、もともと超レアタイトルで読むことが難しかった上、マーガレットコミックス未収録まで読めるということですので、手に入る内にGETしておいて損はないと思います。
霧のなかの少女 収録詳細
連載は、週刊マーガレットの1966年50号から1967年29号まで掲載されました。
単行本は、マーガレットコミックスで1968年5月20日に初版が刊行されました。