絶版漫画 豆知識&お得情報

絶版漫画のランク【お宝コミックからビンテージコミックまで】

絶版漫画のランク

一口に絶版漫画といっても、苦労せずに数百円で買えてしまうものから、市場に出てくること自体が無く超入手困難で何百万円もするプレミア漫画まで、幅広いランクやジャンルが存在します。

有名作家の初期の単行本には軒並高値が付いていて、数十万円もするお宝クラスのタイトルがズラリと並んでいます。

 

漫画本1冊にそこまでのお金を費やすのは、なかなかハードルが高いですよね・・・。

そこで一般的なのは、いわゆる「ビンテージコミック」と呼ばれる新書版のコミックですが、こちらもピンからキリまであり、人気のある作家や、稀少性の高いタイトルには既に結構なお値段が付いております。

 

今回はレアな絶版漫画のランクを3段階に分けてまとめてみました。

 

参考にさせていただきました

  • お宝コミックランキング/宝島社(2000.3.25)
  • マンガ古本雑学ノート/江下雅之(1998.9.4)
  • espace de massa
  • Wikipedia

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お宝コミック

1冊なんと100万円以上! まさに超お宝級コミック!!

 

お宝コミックの頂点には、常に手塚治虫藤子不二雄の作品が位置していますが、二大巨匠の以下の2冊は、日本で最も(相場が)高い単行本とされています。

この2人に水木しげるを加えた三大巨匠が、不動のコレクター人気TOP3だと思います。

 

紹介する以下の3タイトルは、オリジナルの存在自体に価値があり、復刻版が刊行されても値段が下がることのない超プレミアお宝コミックです。

新寶島(手塚治虫)

名実共にトップ漫画家の手塚治虫のデビュー長編であると同時に出世作でもあります。

また、ストーリーマンガを確立した漫画表史上の記念碑的作品として戦後日本マンガの出発点とされているのが『新寶島』です

新寶島-手塚治虫

昭和22年1月30日初版/育英出版より刊行

初版本は3冊しか存在が確認されておらず、市場価格は300万円です。

状態の良い極美本にはなんと500万円の値が付いています。

再販は約80万円位です。

ごま
現存数は100冊位だそう

 

『新寶島』初版の特徴

初版本だけ判型が違います。

初版はハードカバー製本で、表紙が再版に比べて大きく、中身の紙も白く上質紙が使われています。

また、初版本のみ奥付が入っていて「昭和22年1月30日初版」と明記されています。

ごまメモ

松本零士が自分のコレクションをもとに作成した資料では、まだ本当の初版本が発見される前だったので、『新寳島』は昭和22年4月初版となっています。(改訂版)

 

いわゆる「赤本」は再販以降のものです。

昭和20年代後半の版は、題名が『新宝島』と新字体になっているようです。

現在一番流通している版では、ローマ字表記が唯一「SHIN TAKARAZIMA」になっています。

他にも副題が違ったり、作者名が手塚治虫のみの版もあります。

ごま
現在、7通りの異なる印刷が確認されてるんだって

ごまメモ

『新寳島』はゾッキ本が多い上に、元が描き版で製作されている為、版によって絵柄がかなり違います。

『新寳島』はどのくらい印刷されたのか?

手塚先生のお話や一般論だと40万部売れたといわれていますが、この数字は同盟出版が手塚先生に伝えたものです。

実際には80万部以上売れたという指摘や40万部でも多すぎるという意見もありますが、ゾッキ本も数多く出回っていた為、『新寳島』の正確な発行部数を推定するのは極めて困難だといわれてます。

ごま
推測 40万部~80万部って幅広すぎ!

手塚治虫は作品の価値を認めていなかった?!

『新寶島』は、当時関西で漫画家・紙芝居作家として活躍していた酒井七馬との共著となります。

しかし手塚先生の原画が酒井氏によって大幅に修正されたことや、本の裏表紙に「サカイシチマ作」とだけ記されていることに対し、手塚先生はかなり不満を持っていたといわれています。

 

そのせいか、この作品は長らく復刻されませんでした。

講談社手塚治虫漫画全集が企画された当初も、手塚先生は収録を断りましたが、このときは新たな作品として全て描き直すことで決着がつきました。

当時の原稿は紛失していて、原本からの復刻であっても、赤本は職人の描き版であり手塚先生自身の絵ではないことと、酒井七馬の手が入っていて手塚治虫作品とは言えないことなどが描き直しの理由に挙げられています。

結局、手塚先生は描き直し版の作品的価値についてもずっと否定的だったそうです。

ごま
よっぽど嫌だったんだね・・・

ごまメモ

講談社の全集版の『新宝島』で描かれている内容は、育英出版の『新寳島』とは大幅に異なります。
特に冒頭のピートくんが自動車を走らせる場面は、育英出版のオリジナル版ではかなりコマが少ないです。またカットされたラストシーンも追加されています。

 

2009年に、手塚治虫生誕80周年を記念して、貴重な初版本(1947年1月刊行)を元に完全復刻されました。

UTOPIA 最後の世界大戦(足塚不二雄)※藤子不二雄

同じく、原作者ですら持っていなかった為に、長らく存在が確認されず古本探しのロマンをかきたてた藤子不二雄のデビュー単行本、『UTOPIA 最後の世界大戦

発見当時は現存数が4冊しか確認されていませんでした。

状態の良い初版本またはカバー付再販本の価値は300万円~500万円位です。

UTOPIA最後の世界大戦-藤子不二雄

昭和28年8月初版/鶴書房より刊行

まんだらけの古川氏が「なんでも鑑定団」に出演した時に紹介したことでさらに有名になり、その後市場に10冊以上は出てきましたが、それでも価値が下がることはありませんでした。

むしろ出るたびに値段が上がり続けているらしく、冊数が増えようが復刻版が刊行されようが値段が下がることはありません。

まさに別格のタイトルといえます。

ごま
現存数は15冊程だそう

ごまメモ

当時在庫を置いていた倉庫が火事にあった為、非常に貴重になりました。松本零士はリアルタイムでこの本を購入し、現在も所有しているそうです。

波乱万丈の単行本化

『UTOPIA 最後の世界大戦』は安孫子・藤本両人の最初で最後の描き下ろし単行本です。

二人はあちこちに持ち込みをするも、当時の雑誌の状況やストーリーが子供向けではないとし出版社から難色を示されていました。

最終的に『UTOPIA 最後の世界大戦』は手塚治虫の紹介で単行本化が実現されました。

 

しかし、自分達で用意した扉絵は没にされたことと、本来の白黒原稿を鶴書房側に彩色されたこと、また勝手に別人によるコマが最後に付け加えられた為、両人にとっては不満の残る内容になってしまったそうです。

ごま
藤本先生が所有していた同書には、別人によるコマに×が付けてあるんだって

 

鶴書房版には、中島利行の『覆面団』も併録されていますが、中島氏の名は本のどこにも書かれておらず、あたかも足塚不二雄の単著のような装丁になっています。

ごまメモ

ちなみに使用している「足塚不二雄」のペンネームは、刊行にひと役買っていた手塚治虫の足元くらいにはおよびたい・・・との願いで付けられたらしいです。(「足塚」名義のタイトルは4点)

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扉絵と復刊カバーにまつわるエトセトラ

初版である鶴書房版の扉絵は、当時の人気漫画家・大城のぼるが描いたものです。

1981年に名著刊行会より『日本名作漫画館』として復刊され、藤本(藤子F)先生の描き下ろしカバーが付いていましたが、カバーを外すと鶴書房時代の扉絵となるのでカバーが無い方が人気だったそうです。

しかし、2011年に発売された完全復刻版にはその描き下ろしカバーが無い為、今度は1981年の復刻版はカバーの方が価値が高くなるという現象が起きています。

お宝コミックの代名詞

『エスパー魔美』『笑ゥせぇるすまん』『ドラえもんの国語おもしろ攻略 ことわざ辞典』には、同書が登場するエピソードがあり、プレミアコミックとして扱われています。

他にもドラマやゲームでお宝本として度々登場しています。

ごま
コンフィデンスマンJP(運勢編)にも出てたよ!

妖奇伝(水木しげる)

水木漫画の原点ともいえる幻の貸本雑誌です。

全2巻の作品ですが、2巻揃いで出てくることは滅多に無いレア中のレア本です。

美本の2巻セットで200万~300万の値が付きます。

妖奇伝-水木しげる

昭和35年3月/兎月書房より刊行

ごまメモ

当時、子供達が絵(特に2巻の表紙)を怖がり全然売れなかった為、なかなか出てこないそうです。

 

ゲゲゲの鬼太郎(貸本版『墓場鬼太郎』)の記念すべき第1作「幽霊一家」が収録されています。

水木しげるの妖怪ものが大ブレークするやいなや、一気にマニアから注目されるようになりました。

ごまメモ

出版元である兎月書房は、経営難で「墓場鬼太郎」の原稿料をまったく支払わなかった為、これに憤慨した水木しげると一時期絶縁状態になりました。

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プレミアコミック

価値は数十万円! いつかは欲しいプレミア級コミック!!

 

100万円とはいかないまでも、数十万円クラスのプレミアコミックはたくさんあります。

巨匠作家のデビュー作や初期の代表作は市場人気が高く、どれも数十万円の値が付きます。 

先に挙げた3大巨匠に次ぐ作家として、楳図かずお・白土三平・石森章太郎・赤塚不二夫・松本零士・横山光輝などの初期作品は稀少性が高く、高額のプレミア価格が付いています。

巨匠作家のデビュー単行本

プレミア漫画-巨匠デビュー作

  • こがらし剣士(白土三平)
    昭和32年8月/巴出版より刊行
  • 宇宙作戦第一号(松本あきら)※松本零士
    昭和33年6月/昌和漫画出版所より刊行
  • 火の鳥風太郎(石森章太郎)
    昭和32年1月/曙出版より刊行
  • 復讐のせむし男(千葉徹弥)※ちばてつや
    昭和31年6月/日昭館書店より刊行
  • 森の兄妹(ウメヅカズオ)※楳図かずお
    昭和30年6月/トモブック社より刊行
  • 空気男爵(さいとうたかを)
    昭和30年/日の丸文庫より刊行

ごまメモ

中学2年生当時の楳図かずおは、『森の兄妹』で考察した描画テクニックを手塚治虫に真似されて以来、「手塚嫌い」になったそうです・・・。

高価な初期作品

プレミア漫画-巨匠初期作品

  • 水色のリボン(石森章太郎)
    昭和33年(?)/わかば書房より刊行
  • 地獄の犬(横山光輝)
    昭和33年7月/中村書店より刊行
  • 鉄人28号 ※『少年』7月号付録(横山光輝)
    昭和31年7月/光文社
  • お母さんの歌(赤塚不二夫)
    昭和33年11月/若木書房より刊行

ごまメモ

『水色のリボン』は、乱丁回収の為に現存数が少なく、数冊しか存在が確認さていない超レア本。よって、オリジナルは全て乱丁ものです。

三大巨匠プレミアコミック

手塚治虫

  • 怪人コロンコ博士
    昭和22年9月初版/同盟出版より刊行

    昭和20年代当時の手塚作品の中では、珍しく東京で刊行された為、買いそびれてしまったファンが多く希少価値が高まりました。

  • アトム赤道をゆく ※『少年』昭和28年8月号付録
    昭和28年8月/光文社

    この作品が付録漫画でアトムが初登場しました。アトムものではこれが最高値。

  • 前世紀(LOST WORLD)全2巻(地球編・宇宙編)
    昭和23年/不二書房より刊行
  • 来るべき世界(NEXT WORLD)全2巻(前編・宇宙暗黒編)
    昭和26年/不二書房より刊行

    同じ前篇でも、『馬蹄島』のエピソードが含まれている版と含まれていない版がありますが、どちらも「初版」として出ています。

  • 大都会(METROPOLIS)
    昭和24年12月/育英出版より刊行

藤子不二雄

  • 三人きょうだいとにんげん砲弾
     「漫画王」昭和27年12月号付録/秋田書店

    足塚名義の付録で非常にマニア人気が高いです。付録としてはかなり大きな判型。

  • バラとゆびわ
     「少女クラブ」昭和30年1月号付録/講談社

    付録にしては珍しく正方形の判型をしています。

  • ユリシーズ
     「たのしい三年生」昭和32年6月号付録/講談社

水木しげる

  • 恐怖の遊星魔人
    昭和33年初版/暁星書房より刊行

    東真一郎名義の初期作品。水木しげる本人も持っていない上、 出版されたのかどうかも分からないと述べていた為、ファンの間では長らく「幻のマンガ」とみなされていました。市場に出れば『最後の世界大戦』に次ぐ評価がなされるだろうと当時いわれていました。その後現物が見つかり、カバー付の美本で150万円~200万円の値が付きました。

  • ロケットマン
    昭和33年2月初版/兎月書房より刊行

    水木しげるのデビュー作です。

  • 地獄の水
    昭和30年台初頭/暁星書房より刊行

    東真一郎名義の作品で、『恐怖の遊星魔人』に次ぐ評価を得ています。

  • 墓場鬼太郎(全3巻)
    兎月書房より刊行
  • 鬼太郎夜話(全4巻)
    三洋社より刊行
  • 河童の三平(全8巻)
    東考社より刊行

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ビンテージコミック

まずはここからスタート! コレクターの入り口、ビンテージコミック!!

 

最初からお宝級やプレミア級の漫画を集めようと思っても、値段も高く、物自体を見つけるのにも苦労します。

そこで、昔読んだあの漫画を読みたい・・・位の感覚で手が出しやすい分野が、ビンテージコミックです。

大体60年代~70年代に刊行された新書版コミックスが該当します。

価格・見た目共に馴染みやすいですね。

ごま
ごまのコレクションも大半がビンテージコミックになります

主な出版社ブランド

コレクター人気2トップブランドは、虫プロ商事の『虫コミックス』(全188巻)と朝日ソノラマの『サンコミックス』(全927巻)です。

作品自体に人気のあるものが多いのと、全巻をシリーズとして集めるマニアも多いので、全体的に人気が集中しています。

詳しくはこちら

NO.1 ブランド
虫コミックス
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少女漫画のブランドでいうと、講談社の『KCフレンドシリーズ』(全89巻)と、若木書房の『ジュニアコミック』(全39巻)や『ティーンコミックス』(全72巻)は極めて流通量が少ない為、どのタイトルも入手困難状態です。

その他、少年画報社の『キングコミックス』と『ヒットコミックス』、秋田書店の『サンデーコミックス』双葉社の『パワーコミックス』などもコレクター人気が高いです。

 

現在でも新刊の出ている集英社の『ジャンプコミックス』や小学館の『てんとう虫コミックス』なども、巻数の長いシリーズものや、 流通量の少ないレアなタイトルは高値が付き始めています。

レトロコミック

最近は、ビンテージとまではいかないけれど、80年代~90年代に刊行されて現在は絶版になっているコミックスをレトロコミックと呼ぶこともありますね。

ビンテージとの明確な年代の区分は無いので、同じタイトルでもビンテージだったりレトロだったりしますが、なんとなくビンテージよりは発見や入手がし易いイメージです。

これでGET!

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まとめ

『新寶島』も『最後の世界大戦』もいろんな意味で貴重過ぎる存在なのに、当の作者様達が様々な不満をお持ちなのが少し切ないですね。

(藤子先生は自身の作品に登場させている位だからそこまで否定的では無いのかもしれないけど・・・)

 

漫画のレベルを超えた超お宝コミック・・・。

GETするのは無理だけどいつかは拝んでみたいものです。

まずはプレミアコミックGETを目指して、コレクションを続けていく日々です。

ごま
いつかGETできるかな

 

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