関よしみの『呪われた遊園地』です。
関よしみ作品は根強いファンが多く、発売された単行本は基本プレミア価格となっていますが、この『呪われた遊園地』はその中でも特にレアで、関よしみ最難関といわれています。
他のタイトルが千円前後で取引されているのに対し、『呪われた遊園地』だけ取引価格が5千円前後に跳ね上がります。
関よしみ作品の中で唯一、角川書店の「ザ・ホラーコミックス」から刊行されていて、掲載誌の「ザ・ホラー」が約2年で休刊となり全15号のみの発刊だった為、流通量が少なく希少となっているのかもしれません。
ごまメモ
犬木加奈子作品で特に高額プレミアが付いている『新不思議のたたりちゃん』と『真・不気田くん』も同じレーベルで入手困難なので、全体的にレアレーベルとなっているようです。
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犬木加奈子 新不思議のたたりちゃん
犬木加奈子の『新不思議のたたりちゃん』です。 ホラー漫画の女王といわれている犬木加奈子の代表作でもある『不思議のたたりちゃん』の続編にあたります。 ...
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関よしみ とは
シチュエーションホラーの女王といわれ、「トラウマになった漫画」などの掲示板で必ず名前が上がる人気ホラー作家です。
本人いわく「人間こそ一番怖い」とのことで、極限状態で噴き出す人間のエゴイズムの怖さや、社会の中に潜む人間の残酷さなどを描いた作品を多く発表しています。
関よしみ作品にハマる理由
ホラーの中にも社会問題や逆転の構図を描いたSF的な世界観、また、ブラックユーモアなどの多彩な要素が散りばめられ、予想のつかない巧みなストーリー展開もあいまって、作品の魅力となっています。
絵柄とストーリーのギャップがハンパ無い
パッと見は、「わぁ~どんな恋愛漫画だろう…」と思わせるかわいらしい少女漫画風の絵柄なのに、いざ読んでみると、予想外のグロい描写と残酷な展開が繰り広げられ、本来の内容以上のショッキング度が与えられます。
このギャップが、不思議な中毒性を放ち、トラウマになるけどもっと読みくなる・・・という読者を増やし続けているようにも思います。
ごまメモ
デビュー当時のペンネームは『いとうかよこ』でした。1983年以降(「心の鏡をのぞいたら」より)、『関よしみ』名義に変更しています。由来は、下関市吉見町出身だからだそうです。
呪われた遊園地 あらすじ
オープン直後の遊園地を舞台にした「恐怖の限界点」3部作です。
遊園地自体は呪われていないのですが、人間の奥底に潜む様々な恐怖により起こる悲劇が描かれます。
それぞれの回に出てきたちょいキャラが、次の回ではメインのキャラとなっていて、全3話が上手くつながった形になっています。
恐怖の限界点① 観覧車は止まらない
男女6人で遊びに来たオープンしたばかりの一二三遊園地。
怖がりの千里は、全ての乗り物を怖がって乗りたがらない。
しらけムードになりつつも、観覧車なら大丈夫とみんなが説得して、半ば無理やり千里を観覧車に乗せる。
しかし、観覧車が上がると千里はパニックを起こしてしまい、暴れて空いてしまったドアから地上に転落してしまう・・・。
その後、なぜか元気な千里に誘われて、5人は立体迷路に入ることになる。
5人ともさっき見た光景は夢だったと思い、迷路の中に入っていく。
しかし迷路の中で、ゴキブリ嫌いの利恵は大量のゴキブリに体中食べられ、容姿に自信のあった流一はミラーハウスの鏡で顔がメチャクチャになってしまい、ひとりが苦手な和彦はまっ暗な中で誰とも会うことができずに気が変になってしまう。
また、慎吾は夕耶が千里の幽霊に見え、パニックになり逃げ出し、夕耶はそんな慎吾を止めようとして腕を掴むが、振り返った慎吾は夕耶が大嫌いなニワトリの姿をしていた。
驚いて夕耶は慎吾を階段から突き落としてしまう。
そして、たくさんのトリが降ってきて、いつの間にか自分がヒナドリになり、大量のトリがいる巣の中に入れられ気が狂いそうになる。
巣から落ちた夕耶を通りすがりの少年が戻そうとするが、観覧車で事故があったと聞きそっちへ行ってしまう。
観覧車の下には千里の死体があり、観覧車の中で係員が見つけたものは、既に亡くなっている5人の死体だった。
恐怖の限界点② わがままなバンジー娘
憧れの薫と一二三遊園地にやって来た茂。
刺激を求める薫は次々と絶叫マシーンに乗りたがり、ついていけない茂だったが、フラれるのが怖くて、無理して一緒に乗っていた。
遊園地をまわっている途中、チケットをくれた茂のおじさんに会い、人は平穏無事な生活が続くとドーパミンが減り、刺激を求めるようになるという話を聞く。
また、一番怖いのは、刺激に慣れ過ぎて必要な時に恐怖を感じなくなることだとおじさんは言い残して去って行く。
その後、薫の元彼が現れ薫への未練をあらわにしていく。
薫にバンジージャンプに誘われた茂は、さすがに無理だと思い一度は断るが、薫にバカにされて頭にきて勢いで飛び降りる。
そこで茂が感じたものは、恐怖とそれ以上の快感だった。
薫も飛び降りようとするが、その瞬間に狂った元彼がバンジーの紐を切って薫と一緒にとび降りてしまう。
薫の死体は無残にひしゃげて、まるで笑っているようだった。
茂は帰り道にバイクを飛ばしていたが、気付かないうちにとんでもないスピードを出していて事故って死んでしまう。
バンジージャンプで感覚がおかしくなり、恐怖を感じることが出来なかった為に・・・。
恐怖の限界点③ 親子のシステム・トラブル
一二三遊園地の乗り物の設計をした田上は、以前は絶叫マシーンよりもメルヘン系の夢のあるアミューズメントの設計が好きだった。
しかし、妻に裏切られ離婚してからはすっかり変わってしまい、夢を捨てて利益を優先させるようになっていた。
田上はコントロールルームのモニターで、元妻と、娘の浩美を見つける。
浩美が何に乗っても無表情で感情を出さないことを不審におもう田上。
元妻には新しい旦那とその間に出来た息子がいて、ふたりは息子ばかりをかわいがり、浩美はないがしろにされていた。
それを知った田上は浩美の元へ行き、一緒に遊園地をまわるが、どんなに怖い乗り物やお化け屋敷でも、浩美は一切喜怒哀楽も恐怖も感じていないようだった。
メインコントロールルームで、田上は傷だらけの浩美の体を見て、虐待を受けていることに気付く。
怒りで元妻のところへ向かった田上だったが、元妻と旦那は逆切れして去って行く。
田上が、あんな奴ら死ねばいいと思った矢先、元妻と息子の乗ったジェットコースターが安全装置が下りないまま動きだしてしまい、二人は落下して死んでしまう。
そして他のマシンも次々と異常な動きをし始めて、遊園地は地獄絵図と化していく。
メインコンピューターのシステムトラブルだと知り、メインコントロールルームへ戻った田上が見たものは、微笑ながらコンピューターを操作している浩美の姿だった・・・。
呪われた遊園地 収録詳細
角川書店のザ・ホラーコミックスより。1999年8月1日に初版が刊行されました。
- 観覧車は止まらない
ザ・ホラー/1998年8月号 掲載 - わがままなバンジー娘
ザ・ホラー/1998年12月号 掲載 - 親子のシステムトラブル
ザ・ホラー/1999年2月号 掲載 - ドームズディ 判決の日
ザ・ホラー/1997年ミステリーDX8月20日号増刊 掲載
現在は電子書籍でも読むことが可能です。
同時収録の「ドームズディ 判決の日」は、電子書籍では他の作品が収録されています。